マニュアル

【必読】
1−1 はじめに

1−2 最優先で守ってほしいこと

1−3 「確かな指導」の基準

1−4 かんたん水泳指導マニュアル

1−5 レッスン準備・締め作業

1−6 緊急時の対応

【教育】
2−1 基本的な声かけ

2−2 令和の先を生きていく子どもたち

2−3 「しっかり」しなさい

2−4 「怒る」「叱る」「環境」

2−5 教育とは「待つこと」でもある

【水泳指導】
3−1 指導内容&昇級基準

3−2 指導時間

3−3 はまスイの強み

3−4 指導ネタに困ったときは

3−5 「できない」「環境」

3−6 具体的な練習一覧(準備中)

1−1 はじめに
目指すものと、達成のための考え方について。経営理念。マニュアルの土台の部分です。

はまスイが目指すゴール

【はまスイの理念】
すべての人に、夢中になれる水の世界挑戦の場を提供し、自己実現へと導く

はまだスイミングスクールは、楽しくて夢中になれる水の世界やる気を引き出す教育法を提供します。
これにより、生徒が「やればできる」という自信を持ち、自分の未来を切り開くための人間力を育てることを使命とします。

 

自分の未来を切り開くための人間力とは

・自立して社会で生きていくためには、学力テストなどの数値で測れる認知能力に加え、積極性や協調性、リーダーシップなど数値で測れない非認知能力が必要です。

・本スクールの考える「未来を切り開くための力」とは、きれいに速く泳げるようになることだけなく、人と人とのつながりを大切にしたり自分の価値を認めたりすることが必要不可欠です。

・このため、夢中になれる練習や挑戦したいと感じる課題設定、生徒のやる気を引き出す声かけの工夫などを取り入れることで非認知能力の向上を図り、泳ぎ方の習得を目指しながら人間力を育むこともできるレッスンを行います。

・「自立する=他を尊重した上で、自分で考え行動し、その行動に自信と責任を持つ」とし、「確かな指導」を通して自立へと導きます。

 

確かな指導の具体例

「できた」を毎レッスン提供
・子どもの発想力や創造力を生かす練習
対話を中心とした双方向の指導
・難易度を選択可能な練習
・個性の尊重と伸長
・個別のアプローチ

 

「確かな指導」の目安

×「楽しくない」「どうせ何をやってもムダ」「はやくレッスン終わらないかなぁ」
○「楽しい、もっとしたい」「もう終わりの時間?」「どうすれば上手になるんだろう

×楽しいけど危険
×修行のように厳しくて辛いレッスン
×「行きたくない」「つまらない」の声
△安全だが単調でつまらない
△同じ練習の繰り返しで上達
△指導者だけがずっと話している
○「安全」で「楽しい」練習
○遊び感覚で楽しく上達
○豊富なバリエーションの練習で上達
○「また行きたい」「次も楽しみ」の声
○自由泳ぎや選べる練習、頭を使う練習などで子どもの積極的な参加を促進

指導マニュアル(図解)

1−2 最優先で守ってほしいこと 

【身の安全】溺れるのは一瞬

【事故のないプールを目指して】
・「安全の確保」は常に行いましょう。
・溺れる人は声を出す余裕もなく静かに溺れていきます。
・車の運転と同じように、安全への配慮は常に大事です。
・常に危険予測をし、安全確保のための行動を心がけましょう。
・「これくらい気をつけていれば安全だろう」「この子は大丈夫だろう」はNG。

【安全確保のための具体案】
①指導前
・プールに触らせない(オレンジの床で待機)
・理由が無い限りは観覧席側に行かせない
・プールサイドは歩くように指示

②指導中
・レッスン前中後に人数を数える癖をつける
・死角に子どもが入らないよう壁際に立つ
・3-5秒ごとに担当クラス全体を見渡す
・待機場所を指示し、守らせる
※子どもがヘルパーを外したいと言っても、安全の確保ができないレベル、環境の場合は外さないでください。
(「自分の番の時だけ外す」「外している間は指導者が付きっきりになる」など条件をつけるならOK。)

③遊び時間
・上級コースの指導者はプールサイドから全体を見渡す
・死角に子どもが入らないよう壁際に立つ
・3-5秒ごとに担当クラス全体を見渡す
・飛び込みは指導者が許可した場合のみ
・プールサイドでの危険行為を防ぐ
・遊ぶ場所の制限(特に初級)
【身の安全】溺れるのは一瞬

 

【心の安全】心のバリアフリー

【子どもに心を開いてもらうために】
・心の障壁(バリア)を無くしましょう(フリー)。
・お互いの心を開き、対等な関係を築きましょう。
・子どもの心は無理やり開けずに待つことが大切です。
・色々な関わり方の種まきをして子どもの反応を観察し、個々の特徴を理解しましょう。
※迎合(何でも許して気に入られようとすること)とは違います。

1-3.「確かな指導」の基準

「確かな指導」の基準

【評価基準設定の理由】
スタッフが自身の指導の質を評価し、より良いレッスンにしていけるように、「確かな指導」とは何かという評価基準を設定します。
「確かな指導」ができた=良いレッスン

【レッスンの評価基準】
担当した子ども「全員」がレッスン中に何かしらの「成果」を挙げられたか
 Ⅱ
「できた」という体験を全員に提供できたか
 Ⅱ
子どもが「できた」を感じて帰れたか

【評価基準を元に指導するメリット】
・個に合わせた指導を意識できる
・良いところを見つける癖がつく
・「○○ができたね」と肯定的な声かけができる
・自身のレッスンに対する適切な評価ができ、次の指導に繋げることができる

【個に合わせた指導】
レッスンで求められるのは流れ作業的で場当たり的な指導ではなく、目の前にいる子どもと向き合い、個々に応じた適切な指導です。

しっかり考えて指導しているのか、その場しのぎの指導をしているのかは、ちょっとした仕草や言葉に出てきます。

目の前にいる子どもと向き合い、個々に応じた臨機応変な指導を行うために、反省と学習を繰り返し、指導の質を上げていきましょう。

【全員に成果を求める理由】
全員が何かしらの成果を上げるというのは厳しい要求かもしれませんが、
レッスンに来ている子どもや保護者は全員お金と時間をかけてレッスンに来ています。

子どもや保護者へ支払ったもの以上の価値を提供できるよう
指導の質を高め、「確かな指導」による良いレッスンを行うように心がけていきましょう。

1-4.かんたん水泳指導マニュアル

①まずはこれだけでOK

☆「安全」と「楽しい」の両立のために
→「心身の安全」と「楽しい」の2つが揃えばそれは子どもの「居場所」になります。
楽しいから、心地よいから、友達がいるから、…
理由は何でも良いです。子どもたちの居場所づくりから始めましょう。

【考え方】
・子どもの名前を覚える&呼ぶ
→コミュニケーションや信頼が生まれるほか、心理的な安全の確保にも繋がる。

・褒めポイントを見つける
→悪いところ、できていないところだけを言うよりも、「○○はできてるからあとは△△を□□するだけ」と伝えた方が伸びます。

・説明は結論から
→いくら大事なことでも、長々と説明されると集中が持ちません。情報を詰め込みすぎないよう、「説明は結論から」を常に意識し、端的な説明を。

・レッスン中の待機時間を無くす
→子どもにとって、「待っている時間」は退屈で面白くないもの。なるべく活動時間を増やす工夫を。
 質も量も大事で、「質を伴った量」が理想ですが、量だけでもある程度は伸びます。

【実際の指導例】
・レッスン中に全員の名前を1回は呼ぶ
 「こんにちは」→「○○くん、こんにちは」
 「(スタートして)いいよー!」→「○○ちゃん、いいよー!」
・一度の発言でのテーマは1つ
・全体への説明は20秒以内に
・1人の指導時間は10秒以内に
・アドバイスの前に何か1つ褒める
・前の子が5m地点(赤線、旗など)を過ぎたらスタートするようにする
など

②慣れてきたら

☆「余白」に子どもの考えを

【考え方】
子どもは遊びの天才なので、発想が自由で豊かです。
指導者がすべてを決めて泳がせるよりも、練習内容を選ばせたり、敢えて練習に「余白」を作って子どもの考えを利用すると
子どもが積極的にレッスンに参加するようになり
、楽しい&学習効果の高いレッスンになります。

「自分の意志で泳いでいるんだ」と思わせられたらOKです。

【実際の指導例】
初級
・「長い針が2になるまでは自由」(おもちゃ等は無し)
・「魚とか犬とか、動物泳ぎをしてみて」
・「好きなポーズでジャンプ(プールサイドから)」
・「次の○回は自由泳ぎ。自分で泳ぎたい泳ぎ方で」(初中上級)

中上級
・「ビート板を手で持って泳いで」
・「ビート板に乗って泳いで」
・「ビート板を水につけないように泳いで」
・「3回すべて違う持ち方でビート板を持って泳いで」
・「潜水で泳ぎ方は自由」
・「手の形がグーなら泳ぎは何でもOK」

上級
・「最低30m、行ける人は90m」
・「行きはクロール、帰りは自由泳ぎ」
・「手は平泳ぎ、足は種目自由」
・「手と足、違う種目で組み合わせて泳いで(手クロール、足バタフライなど)」

 

③飽きさせない

☆1レッスンでテーマは3-4つ

【考え方】
1回のレッスンあたりの練習時間は35分ほどです。
35分ずっとビート板キックの練習が子どもにとって苦痛であることは予想がつくはず。

レッスンではテーマを3,4つ持っておき、
1レッスン35分と考えるのではなく、約10分のレッスンを4回行うような意識で指導を行いましょう。
幼児の場合は特に集中が続きにくいため、テーマを5つ持っていても良いです。

【実際の指導例】
1回のレッスンを35分とする。

初級
・10分バタ足、10分顔つけ、10分背面(ラッコ)、5分ジャンプ
・5分自由時間、10分バタ足、5分自由泳ぎ、10分顔つけ、5分自由泳ぎ

中級
・10分バタ足、7分クロール(手)、8分息継ぎ、10分息継ぎクロール
・5分自由泳ぎ、10分バタ足、5分自由泳ぎ、10分クロール、5分自由泳ぎ

上級
・10分ビート板、10分クロール、10分平泳ぎ、5分ダッシュ
・5分自由泳ぎ、10分キック(クロール、バタフライ)、5分自由泳ぎ、10分クロール、バタフライ、5分自由泳ぎ
 

④いかに教えないか

☆指導者は「答えを教える人」ではなく「学習環境のデザイナー」

【考え方】
魚釣り初心者と一緒に海釣りに行ったとして、
「魚を釣ってあげる」よりも「魚の釣り方を教える」方が今後のためになります。
しかし学習効果を考えると、釣り方を教えるよりも「釣り方を学べる環境を作る」方が、釣り方を学ぶより良い方法となります。

「学んでほしいこと」を「自然と学べる環境」を作ってあげられるような学習環境デザイナーとなるのが指導者としての理想です。
動きを無意識的に引き出し、「自然とそうなる」というのがポイントです。

できないなら「できることから少しずつ」積み重ねるのも大事なポイントです。

【実際の指導例】
・「お顔を水につけよう」
 →「帽子についてる火を消して」「水の中綺麗だけど見てみる?」「ほっぺたまではお水につけられそうだからやってみよう」

・「手をパーにして水をかく」
 →「水をたくさん触る・当てる」「指が3cm伸びたつもりで」

・「(背泳ぎキックで)足が沈まないように」
 →「首と足が3cmずつ伸びるイメージ」「足の裏で水を遠くに抑えて」

1-5.レッスン準備・締め作業
水質管理や会員管理等について

優先的にすること

【指導前】
・出勤簿チェック
・ヘルパーの準備
・テレビの電源ON
・タイムカード準備
・プールサイドで安全管理
・子どもとの会話、名前覚え

【指導後】
・タイムカードの片付け(振替の分は元の曜日の場所に戻す)
・ヘルパー片付け(片側だけ空気を抜く)
・ビート板やおもちゃ等の道具整理
・更衣室等の忘れ物確認
・日報記入

 

手が空いていたらしてほしいこと

【建物入口】
・上の体温計はコンセントを刺せば電源ON
・シャッター前とプール駐車場側に旗をかける

 

【レッスン準備】
 ・レッスンを行うための環境整備、安全確保
 ・出席簿の丸つけ
 ・ヘルパーやタイムカードの準備
 ・プールサイドでの安全管理
 ・待機場所への誘導
 ・電気やボイラー管理   など

【塩素濃度測定】
 ・測定は朝、昼、夕方レッスン前、締めの計4回ほど
 ・0.4-1.0mg/Lの範囲が適正範囲
 ・外に向けて色を見る方が正確

 

【ボイラー管理】
 ・指導中の水温は、夏場は29.5-30℃、冬場は30.5-31.0℃が望ましい
 ・プールの水温は1時間に約1℃上がる
 ・シャワーは換気扇のスイッチと連動しているため、必ず換気扇もONにする

 

【日報】
 ・塩素濃度、水温、ボイラーのON/OFF等の記録は日報に

 

締め業務

【ボイラー室】
・換気扇OFF
・ボイラー2基OFF(シャワー、プール)
・補給弁「閉」→「自動」
・シャッターは開けたまま(夜の間に補給弁を「開」にしてオーバーフローさせて水面のゴミを流すため)

 

【プール】
・ボイラー室へのドアの鍵閉め(上の鍵だけで良い)
・プール内の窓を開ける。天窓も忘れないように。
・プールシートは側溝が出るように折り曲げる
・夏場はシートが無い代わりにコースロープを外す

 

【更衣室・ロビー】
・テレビ電源OFF
・更衣室の窓を開ける
・シャワーが止まっているか確認
・除湿機はその時の天候で判断する
・換気扇はON(赤色)、その他はOFF(緑色)

 

女子更衣室(男子更衣室も同じように)

 

【旗】
・シャッター前、プール駐車場側の旗を回収してホワイトボード下に置く

 

その他

【消耗品】
・消耗品置き場は出勤簿の近く
・トイレットペーパー、ティッシュ、ヘルパー、洗剤、殺虫剤等
・女子トイレはトイレットペーパーが無くなりやすいため、常に洗面台に予備を置いておく

 

【スリッパ】
・色ごとに並べる
・ピンク8足、オレンジ6足、赤5足、黄3足、青1足、白1足

【体験・入会】
・体験者の保護者に「体験者名簿」への記入をしていただき、水泳の不得意や学校などの話を聞きながらプール内の案内をしたり指導の内容を伝えたりする。
・体験後(前でも可)に「教室案内」「入会申込書」「会員規約」「画像使用承諾書」「送迎希望届(希望者のみ)」をお渡しする。

1-6.緊急時の対応 

心配蘇生法

東京消防庁公式Youtubeチャンネル
「小児の心配蘇生(AED使用を含む)」(3分20秒)

日本医師会 救急蘇生法
「心配蘇生法の手順」(PDF)

「子どもの一次救命処置の手順」(PDF)

「気道異物除去の手順」(PDF)

※人工呼吸は、ウイルス等の感染予防のため袋や布を介して行う。

 

溺水

【はじめにすること】
・溺水者を引き上げる
・その他の生徒もプールから上がらせる
・人数を数える
・レッスンを中断し、着替えさせる
・溺水者の意識を確認する

【意識がある場合】
・溺水者を人目の少ない場所へ連れて行き、落ち着かせる
・溺水者の保護者へ連絡、病院の受診を勧める
・該当コースの全保護者へ連絡をする(溺水者の意識はあることを伝える)
・レッスン後、主任コーチ等へ報告をする

【意識が無い場合】
・溺水者を人目の少ない場所へ連れて行く(もしくは指導者同士で壁を作る)
・119番通報をし、場所と要件を先に伝える(通報が完了したら指示者へ報告をする)
・心配蘇生を開始(救急隊が到着するまで続ける)
・該当コースの全保護者へ連絡をする(溺水者の個人情報やプライバシーには配慮する)
・搬送を見送った後、主任コーチ等へ報告をする

☆病院の受診代はスイミングの加入保険内で補償します。

 

災害

震災や火災など

【はじめにすること】
・全員をプールから上がらせ、人数確認を行う
・指導者で初期消火を行う

【鎮火できた場合】
・原因が特定でき、レッスン継続可能な場合はレッスンを再開する
・原因が分からない、レッスン継続不可の場合はレッスンを中断し、着替えさせる
・保護者への連絡(鎮火したことを伝える)
・スタッフへ共有し、原因の特定を急ぐ

【鎮火できなかった場合】
・必要があれば火災報知器を鳴らして避難の必要性を周知する(プール内の男子更衣室ドア横の壁)
・崩落や燃え移る可能性の低い場所から避難をする
・避難先は駐車場もしくは裏庭
・119番通報をする(場所と要件を先に伝える)
・避難が完了したら人数確認を行う
・全保護者へ連絡をする

 

不審人物

・指導者は常に周囲に注意を払っておく
・見知らぬ人物や不審な行動には特に注意する
・不審な人物を発見した場合はスタッフ間で共有しておく
・関係者(子ども、保護者、スタッフ)の安全を最優先に行動する
・もし可能なら身分確認を行う
・不審人物が危険を示す行動をとる場合、関係者の安全を最優先に避難を行う
・110番通報をし、警察の指示に従う
・不審人物を排除した後、全保護者へ連絡をする

2-1.基本的な声かけ・言葉
普段からの声のかけ方や言葉の使い方について。

声かけ変換表

楽々かあさん公式HP

リフレーミングと呼ばれる考え方。
物の見方(フレーム)を変えて違う視点で捉え、前向きな解釈をすること。

マイナスに見えることも、見方を変えればプラスに見えるかも?
そうすれば褒めるきっかけにもなり、指導者も子どももストレス減少にもなります。

また、視点を変え色々な見方を通すことで、問題行動の本当の原因を見極めることにも繋がります。

 

望ましくない関わり方

見た目の行動だけでなく、
・なぜその行動を取ったのか
・その行動の背景に何があったのか
・その行動を取るまでの周りの環境はどうだったか
・その行動を取らざるを得ない環境だったのではないか
など、
行動の背景も見て、「ダメだった行動」と「なってほしい姿」「次はどうすれば良いか」などを伝えるようにしてください

以下の例は割と極論で対象の年齢などによっても対応は変わると思いますが、一例として考えてください。

【人格や人間性の否定】
・「また○○くんか」「だからいつまで経ってもダメなんだ」「○○がいつもできないね」
 →「できない子」のレッテル貼り
 →「自分はダメな子なんだ」と思うようになり自分に自信をもてなくなる

・「そのいじわるな性格を直しなさい」「キミは話を聞かない子だから先頭に並ぶのはダメ」
 →「この子は○○な性格だ」と決めつける
 →「○○な性格」が子どもの中に植え付けられて○○な性格が強化されていく

【感情や力(体罰)による抑圧】
・恐怖や力で抑圧
 →「この人が恐いか(力があるか)どうか」で行動を決めるようになる
 →恐くない(力が無い)人の言うことは聞かない
 →恐くない(力が無い)人がいないと抑圧されていた分が爆発する
 →より強い指導をするしかなくなる

【外見、容姿への言及】
・身長、体型、髪形など身体的特徴
 →言った側は些細なことだと思っていても、本人は気にしている可能性がある
 →身体的特徴について話をするときは慎重に

【論点のすり替え】
・「この前は○○で怒られて今回は△△か」
 →今起こっている問題と違う話題を出している
 →関係ない情報が増え、本当に伝えたいことが伝わらない

・「××したら□□していいよ」「××しないなら□□は無しね」
 →「宿題したらゲームしていいよ」「宿題しないならゲームは無しね」
 →「ゲーム」をエサにすると、「宿題」の価値が下がる
 →「宿題」へのネガティブなイメージが強化されていく
 →「ゲーム」がある時にしか「宿題」をしなくなる

 

実践してほしい関わり方

☆課題を与えて行動を選ばせることで、積極的&主体的に楽しく学ぶようになる

【主役は子ども=子ども中心の練習を】
・名前を呼ぶ、子ども目線、考えさせる、選ばせる
・課題を与えて解決させる
・自由度がある方がストレスがなく学習効率も良い

【名前を呼ぶ】
名前を覚えてもらっているのは子どもも保護者も嬉しいものです。
「たくさん名前を呼んでくれていたから入会を決めた」という習い事の例もあります。
1レッスンの中で1回でもいいので名前を呼んであげてください。

【子ども目線】
・「子ども」=「小さな大人」ではないため、見えているもの、感じているものが大人とは異なる
 →子ども特有の見え方や世界観がある
 →言葉や表現の仕方が未熟なため、悪い言葉を使ってしまうことも
 →未熟なことを理解した上で、「何がどうダメか」「次はどうすれば良いか」を伝える

【なるべく答えを教えない】
・答えを教えると「自分で考えない受け身な姿勢」になる
・ヒントを与え続けて答えに辿り着かせることで、自分で考える癖や自主性に繋がる
・答えを教える前に考えさせるなど、ワンクッション挟んでも良い。
・「なぜそう思う?」「そう感じた理由はどこにある?」など考えを言葉で表現するように促しても良い

【選択肢を与える】
・ある程度の自由を与えて、余白をつくる
→練習の一部を自由や選択制、課題解決型にする
 ・自由「1回目は○○、2回目は自由泳ぎ」
 ・選択制「できる人は○○、自信がない人は△△」
 ・課題解決型「○○をしながら泳いでみて」
※詳しくは「1-4.かんたんマニュアル」の「②慣れてきたら」を参照

幼児に対しての研究で、
指導者主体で形式的な練習をするよりも、子どもが自己決定するような自由遊びの方が運動能力が高くなる
という研究結果が出ています。

2-2.令和の先を生きていく子どもたち

主役は子ども

【経験よりも根拠を優先に】
・指導者の経験してきた教育にとらわれず、時代に即した教育を行いましょう。
・過去の経験だけでは、正確で効果的な教育を行うことは難しいかもしれません。
・古き良き伝統は継続し、古き悪し慣習は改良しましょう。
・今の子どもたちは、令和の次の元号の時代を支える大人になります。
・目の前の子どもたちの成長に合わせ、今の時代に求められる教育・指導を心がけましょう。

【子どもは小さな大人ではない】
・1700年代までフランスでは「子ども」=「小さな大人」として、体が小さいだけの大人と考えられていました。
・「社会契約論」などで有名なルソーは、「子どもは小さな大人ではない」という言葉を残し、「子どもの発見者」として有名です。
・5歳には5歳の、10歳には10歳のための教育が必要です。
・月齢的には同じ10歳でも肉体的・精神的な成長スピードは違います。
・成長段階や個々の特性を尊重し、個に合わせた指導を行いましょう。

【「普通」=「自分だけの常識」】
・子どもの視点や価値観は、成長段階や個人によって異なります。
・そもそも大人同士でも「これは常識」にもズレがあります。
・大人にとっての「普通」が子どもには通用しないことがあります。
・子どもに社会のルールやマナーを教えるときは、子どものもつ世界観を理解し、適切なアプローチを検討しましょう。
・「毎日が新しい発見の連続」である子どもの世界観を覗いてみてください。

 

指導者の仕事はヒントを与え続けること

【「教える」は難しい】
・「これはこう」と答えを教えても、次から一人でできるようになるとは限りません。
・答えだけ知っているのが「暗記」、答えまでの過程を知っているのが「理解」。
答えを見つける過程があることで子どもが自ら考え、学びを築きます。そして理解のサポートをするのが「教育」です。
・正解を教えることをやめて、正解に辿り着くためのヒントを与え続けるのが教育者としての指導です。

【子どもは探求者 指導者はガイド役】
・子どもが自分の力で進む、自分の力で答えを見つける
・指導者は子どもが答えを見つけるまでヒントを与え続ける
・子どもたちが自分の力で考えた後に、指導者が答えを与える

2-3.「しっかり」しなさい

【「しっかり」とは】

「ちゃんとしなさい」「挨拶はしっかりしないとダメでしょ」
というような声かけはあまり効果が無いことが多いです。
それは、「ちゃんと」「しっかり」が何を表しているのかが分かっていないからです。

「しっかり挨拶をしなさい」と言うよりも
「『しっかりした挨拶』っていうのは「初めに目を見る」と「頭を上げてもう一回目を見る」ができていることだよ」

といった形で、
「しっかり」という曖昧な言葉の意味を、子どもにも分かるような言葉に変換すると伝わりやすいです。

自身の発している言葉ひとつひとつが「その子が認識できる言葉」として発せられているか、声をかける度に見直してみてください。

 

【「ここは譲れない」という線を持っておく】

指導全体に通ずることでもありますが、
マニュアルに載っていなくても「ここは譲れない」という個人的な指導基準を持っておくと良いです。

「ここは譲れない」という指導上の最低ラインを持っていれば指導者自身の行動に意味が伴ってくるので、
芯のある指導ができるようになります。

あいさつ、片付け、公共のマナー、バタ足、クロール、練習量、声のかけ方、…
生活面、運動面、全ての場面で、指導する上での最低ラインを持っておくと
指導がブレることなく自分らしい指導が出来てきます。

2-4.「怒る」「叱る」「環境」 

「怒る」と「叱る」

【教育】
・「怒る」は自分の感情を表現すること。
・「叱る」は問題点と改善方法を伝えること。
・子どもから見た大人は巨人。子供にとっての大人は、恐怖を感じる対象として見えます。
・子どもの尊厳を傷つける「怒る」や「人格否定」は避け、問題点を指摘し改善方法を示す「叱る」を心がけましょう。
・問題行動をただ批判するのではなく、改善への道を示すことが大切です。
・叱る時は、「何が」「どう悪くて」「次はどうすれば良いのか」を伝えてください。

【言葉の力】
・言葉は人を感動させることも傷つけることもできます。
・言葉の暴力やイジメは人を傷つける立派な犯罪です。
・はまだスイミングスクールは人のこころを育てる教育の場です。
・問題行動を見て見ぬふりをしたり傍観者になったりせず、「何がどう悪くて次はどうすれば良いのか」を子どもと共に考えてみてください。

叱ることはエネルギーを使うため目を背けたくなるかもしれませんが、
子どもも指導者も成長するチャンスだと捉えてしっかり向き合うようにしてください。

また、「その時の子どもの行動の背景、心理状態を理解しようとしていたか」
という自省も忘れないようにお願いします。

 

叱る前に環境を見渡す

基本的に、怒ろうが叱ろうがその人自身が「これじゃダメだ」と気づかなければ他人は変えられないし、その人を取り巻く環境を変えるか自分の認識を変える方が効果も大きくて手っ取り早いです。

【なぜその問題行動を…?】
・問題行動を叱るのも大切ですが、その行動がどのような状況や環境が原因で起こったのかも考えましょう。
問題行動をそもそも起こさせないためにはどのような働きかけ、環境の設定が必要なのかを考えましょう。
・例えば、その子の特性上の問題、他の子どもとの関わり、場の雰囲気などの影響があるかもしれません。

【環境の調整】
・問題行動が改善せず繰り返し起こる場合は、「そうなってしまう環境」が原因かもしれません。
・問題行動だけ見るのではなく、その行動の前後関係にも目を向けてみてください。
例1:いつもAくんがBくんとケンカをするのは、Aくんが先にちょっかいを出しているから
例2:Cちゃんがプールに入りたがらないのはプールが嫌いだからではなく、知っている友達がいないから

問題行動が繰り返し起きている場合、その子自身に原因があるのではなく環境に原因がある可能性もあります。
「しない」ではなく「できない」のではないか、「いつも悪いことをする」ではなく「善い行動を知らない」のではないかという視点を忘れないように。

「問題行動を直そう」とすることも大事にしながら、
「問題行動が起きないような環境をつくろう」としてみてください。

2-5.教育とは「待つこと」でもある

「今」は「これまでの成果」

・10歳なら10年かけて積み上げてきたもの、30歳なら30年かけて積み上げてきたものが、その人の「今」。
・積み上げるもの、積み上げ方は人それぞれ=できる形は人それぞれ。
・小さいうちから簡単にできることもあれば、何歳になってもできないことはある。人それぞれ。
・大人に引けを取らない運動能力をもつ子どももいれば、大人より話し方の上手な子どももいる。子ども<大人と思わないように。

何年もかけて積み上げてきたものが「今」に現れています。
そんな積み木のパズルのように長年かけて積み上げてきた他人の人生を、たった1回の怒号や強制で直そうとは思わず、目の前の子どもに敬意をもって接し、
「どんな正論を言っても1回で直るものではない」という心持ちで冷静な指導をしていきましょう。

 

長い目で「待つ」

「落ち着きがない」「話を聞かない」「すぐ手を出す」…
「問題行動」とも言われる子どもの行動は、なかなか手強いもの。
大人が「直そう」と考えて一方的に干渉しても効果が無かったり悪化したり…。
「行動を直させたいのになかなか直らない」は、保護者や指導者の多くが頭を抱える問題です。

そんな時こそ「適切な環境の提供」が大切です。

「大人が干渉して何とか直そう」ではなく
「環境を与えて気づかせよう」と考えてみてください。
もちろん、「何が正しくて何が悪いのか」「次はどうすれば良いのか」という基準を教える必要はありますが、
基準を与えた後は環境づくりに徹底し、
子どもが自分の力で気づき、成長していく時間も与えましょう。

命に関係すること、他人の体や心を傷つけることなどは即座に辞めさせる必要がありますが、
それ以外の場合は少し余裕をもって長い目で見て待ってみてください。

3-1.指導内容&昇級基準
各コースでどんな内容を指導すれば良いかの一覧。「楽しく」「安全」であれば載っていない内容を指導してもOKです。クラスの雰囲気や状況等に合わせてください。

全体図

全てのクラスには相互関係があるので、上級が初級の練習をしても良いし、初級が上級の練習をしても良いです。
どの場面でも守っていてほしい原則は、「安全」と「楽しさ」です。
そこさえ確保できていれば自由に指導していただいて構いません。

 

初級

浮き=ヘルパー

【初級→中級の昇級基準】
・ヘルパー無しでボビング5m
(ボビング…ジャンプしながら前に進む動き)


☆ボビングができるようになると…
・ヘルパー無しでも1人でプールで活動できる
・呼吸の仕方が身につく(四泳法にもつながる)
・プールの床で滑る、ゴーグルに水が入るなど不慮の事態にも落ち着いて対処できる

☆ボビングのポイント
・息を吐きながら顔を上げる
・息を吸って潜る
・着地はゆっくり、ジャンプは速く

●ポイントの詳細
・2秒に1回くらいのペースでジャンプをするのが望ましい
・息を吐きながら、泡と一緒に顔を上げる(口が水上に上がった時には吸った息の8-9割は吐き終わっている)
・通常の呼吸と同じくらいの息の量を吸って潜る(吸いすぎは苦しくなる)
・ボビングの一連の動作時間を10とすると、体が水中に入っている時間=7、体が水上に出ている時間=3くらいの割合でできるように
(しっかり潜ってからジャンプしないと小刻みになり、息を吸うタイミングが取りづらい)

 

中級

【中級→上級の基準】
・足を着かずに30mクロール(息継ぎあり)


☆息継ぎクロールができるようになると…
・長い距離を泳げるようになる
・他の泳法に応用しやすくなる

☆クロールのポイント
・呼吸時に頭が上がっていない
・水を長く押す

●ポイントの詳細
・耳と側頭部は水につけたまま呼吸をする
 (頭頂部やキャップが進行方向に引っ張られるイメージ)
・肩幅のライン上で、水を動かしていくイメージで水をかく

 

上級

【上級→チャレンジの昇級基準】
・競泳に対してやる気がある
・四泳法それぞれ15m泳げる


☆四泳法ができるようになると…
・競泳種目をすべて泳げることの証明になる
・チャレンジコースで泳法指導に割く時間が減り、競泳の練習時間を増やすことができる

☆ポイント
・四泳法→バタフライ、背泳ぎ、平泳ぎ、クロール
・不恰好でも形ができていれば良い

プレチャレンジコースとチャレンジコースとの違いは、練習回数と月謝のみ
プレチャレンジ→週2回まで、月7800円
チャレンジ→週6回まで、月8200円

3-2.指導時間
各指導時間と内訳について

実際の練習時間

全体の時間は約50分で、
実際の練習時間は35分程度

レッスン開始までの準備5分
練習35分
遊び7分
片付け・挨拶5分

平日 18:00-18:50
 →18:00挨拶 18:40練習終了 18:50頃に挨拶

土曜AM 10:30-11:20
 →10:30挨拶 11:10練習終了 11:10頃に挨拶

土曜PM、日曜 17:00-17:50
 →17:00挨拶 17:40練習終了 17:50頃に挨拶

 

遊び時間

・上級の指導者はプールサイドから監視をする
・プールにいる指導者全員で全体を見る
・子どもが死角にいないようにする
・できれば壁の近くで壁に背を向ける
・周囲の安全に気を配りながら一緒に遊ぶ
・ボールを蹴るのは方向が定まらず保護者に飛んでいく可能性も高いため禁止
遊び時間

3-3.はまスイの強み
はまスイならではの指導をつくる要因

他のスイミングにはないもの

・15mプール
・進級テストや細かい進級基準は無し
・プールサイドで直接観覧が可能

3-4.指導ネタに困ったときは

空間を立体的に使う

「どんな練習をすれば良いか分からない」
「指導がマンネリ化してしまっている」
といった場合に参考になる考え方です。

・空中 ・水面 ・水中
・上  ・下  ・左  ・右

これらをうまく使って練習方法を考えると良いです。

【ジャンプ】
・プールサイドからジャンプ
・水中でジャンプ
といった形で同じジャンプ動作でも、空間の使い方によって別物になります。

【バタ足】
・水面で下向き(ビート板キック)
・水面で上向き(背面キック)
・水面で横向き(サイドキック、クロール息継ぎ練習)
・水中で下向き(潜水)
・水中で横向き(サイドキック)
など、同じ動作でも空間の使い方によって別物になります。

「いつも同じ指導ばかりだな」
「もっと色んな練習をさせてあげたいな」
と思った時に、
空間と向きに目を向けてみてください。
新しい練習方法が思いつくかもしれません。

3-5.「できない」と「環境」

「できない」なら「できるように調整」を

はまだスイミングスクールは、「できない」を「できる」に、
そして「できた」の喜びや「私はできる」という自信・挑戦する心を育むために存在しています。

「できない」に年齢は関係ありません。

何歳であろうと「顔をつけるのが怖い」子もいれば、「クロールの息継ぎができない」子もいます。

「できない」には理由があるもので、
・プールの経験が少ない
・その動きに慣れていない
・溺れたなどのトラウマがある
など、一人ひとり「できない」理由は異なります。

では、その「できない」に対してどう関わるのが良いのか?

できるようになるまでひたすら繰り返す、根気強く地道に取り組んでいくことで少しずつできるようになる
と考えるのが一般的かもしれませんが、

はまだスイミングスクールでは一歩進んだ指導をしていただきます。

 

反復よりもバリエーション豊かな指導を

目の前の子どもの「できない」に対して
同じ練習をひたすら反復して繰り返すのではなく、
似たような動きを様々な方法で、バリエーション豊かに繰り返すようにしてください。

下手な動きの反復練習は下手な動きが上達するだけです。

できない子は下手を繰り返すことになり、そのコンプレックスから次の一歩を踏み出すことができなくなることもあります。
5分でも10秒でも良いので手を添え、心に寄り添い、できるようになるようサポートをしてください。

このわずかな時間が今後の大きな成長の種になります。

バタ足ができない子どもに対してひたすらバタ足をさせるのではなく、

バタ足要素を含むような練習、例えば
「背面キック」「腰かけキック」「おもちゃ取り」「潜水」など

様々な動きや自由度の高い練習(バリエーション豊かな練習)を通して、
バリエーション豊かな練習によって自然と足の動かし方を学べるような環境を与えてください。
(詳細は「3-4.指導のネタに困ったときは」にて説明)

指導者がお手本を見せる、上手な子の泳ぎ方を見せる、など
言葉だけで教えるのではなく具体的な動きを見せながら

「できない」なら「できるようになる」環境を準備し、
自然と目的の動きを学べるような練習を考えるようにしてみてください。

3−6 具体的な練習一覧

動画で共有予定

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